初歩的な時系列モデルから出発し、ベクトル自己回帰(VAR)モデルと正則化について解説します
本セミナーは、2024年6月10日に開催したアーカイブセミナーです。
このセミナーは簡単な回帰分析と行列表記の知識を有していることを前提としています。
時系列モデルとは、時系列データ(商品の売り上げ、株価、Webサイトへのアクセス数など、通時的な変化を伴うデータ)を分析する際に使用する統計モデルのことで、これを使うことでデータの解釈や将来の予測が可能になります。
本セミナーでは、初歩的な時系列モデルから出発し、ベクトル自己回帰(VAR)モデルと正則化について学びます。最終的には、高次元経済データを用いた時系列予測を行うことが目的です。
ここでVARモデルとは自己回帰モデル(現在のデータを過去のデータを用いて表現するモデル)のうち入力が(スカラーではなく)ベクトルで与えられているデータを扱うモデルのことで、正則化とは分析の際に用いる予測の精度を高めるためのテクニックの一つです。また、使用する変数が非常に多い場合、つまり扱うデータが高次元になる場合、特有の困難が発生し、分析が困難になります。これに対する分析手法を紹介します。
この講座で扱う具体的な内容は以下の通りです。
1. 定常な自己回帰(Autoregressive, AR)モデル
時系列データの定常性の定義とその特徴について、また定常なARモデルについて解説します。
2. 平均2乗誤差を最小にする予測
ARモデルを用いて、平均2乗予測誤差を最小とするような「最適な」時系列予測の方法を考えます。
3. ベクトル自己回帰(VAR)モデルへの拡張
単変量ARモデルを多変量のVARモデルへと拡張し、ARモデルと同様に予測の方法を解説します。その際に重要となるVARモデルの「同伴行列表現」について解説します。
4. 最小2乗推定量と正則化推定量
VARモデルの最小2乗推定法について学び、その拡張として回帰式に調整を加える役割を持つLassoを中心とした正則化推定量を定義します。その統計的性質についても簡単に解説します。
5. 高次元マクロ経済データの例 ― FRED-MDデータセット―
実データへの応用の準備として、米国マクロ経済データセットであるFRED-MDについて解説します。これは今日における代表的な大規模マクロ経済データセットです。
6. Rによる簡単な分析例
FRED-MDデータセットを用いた、高次元VARモデルとその正則化推定値による時系列予測をRで行います。
必要となる前提知識は、簡単な回帰分析(最小2乗法)と行列表記ですが、その場で復習しながら進みます。
植松 良公(一橋大学 准教授)
[略歴]
2023年4月 - 現在東北大学, 大学院経済学研究科, 客員准教授
2023年4月 - 現在一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 准教授
2022年4月 - 2023年3月一橋大学, ソーシャル・データサイエンス研究教育推進センター, 准教授
2022年4月 - 2023年3月東北大学, 大学院経済学研究科, 特任准教授
2020年2月 - 2022年3月東北大学, 大学院 経済学研究科, 准教授
2018年9月 - 2020年1月東北大学, 大学院 経済学研究科, 講師
2017年4月 - 2018年8月南カリフォルニア大学, マーシャル経営大学院, 日本学術振興会海外特別研究員
2015年11月 - 2017年3月南カリフォルニア大学, マーシャル経営大学院, 日本学術振興会特別研究員(PD)
2014年4月 - 2017年3月統計数理研究所, 統計的機械学習研究センター, 日本学術振興会特別研究員(PD)
2013年10月 - 2014年3月一橋大学, 大学院経済学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
2011年4月 - 2013年9月一橋大学, 大学院経済学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2007年4月 - 2009年3月国際投信投資顧問株式会社(現:三菱UFJ国際投信株式会社)
[最近の業績]
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