因果の方向を推定する方法を基礎から学び、Pythonを用いた実データへの適用方法を解説します
本セミナーは、2024年8月27日に開催したアーカイブセミナーです。
因果探索とは、データを用いて変数間の因果関係、すなわち因果の方向を推定することです。ちなみに因果探索と混同されがちな「因果推論」は、因果の方向を既知として因果効果を推定するものです。
因果関係の推論は、相関関係の把握を超えて、事象間の真の関係性を理解する上で極めて重要です。例えば、気象学・地球科学の分野においては、地球上の気象現象間の全球的な因果関係を把握するために因果探索が用いられています。この分野においては、実験を行うのが困難であることと、シミュレーションだけでは信頼性のあるモデルの構築が難しいことがあるため、データから因果関係を推測する統計的因果探索が重要な方法論のひとつとなっています。同様の視点を用いて、気象学・地球科学の他にも医療、政策、マーケティングなど、幅広い分野への応用が可能です。
本セミナーでは、統計的因果探索の基礎と応用について、Pythonを用いた実践的なアプローチを交えながら解説します。また、特に因果知識を用いたドメイン適応の分野における応用実例を紹介します。
セミナーでは以下の内容を扱います:
統計的因果探索の基本概念
• 因果関係と相関関係の違い
• 因果グラフと有向非巡回グラフ(DAG)の理解
• 統計的因果探索とアブダクション
• 未観測共通原因(交絡)
代表的な因果探索アルゴリズム
• LiNGAM(因果関係に線形性を仮定した手法)
• RESIT(因果関係に非線形性を仮定した手法)
• CAM-UV(未観測共通原因の存在を許す手法)
• その他、重要な因果探索アルゴリズム(PC, FCIなど)
Pythonを用いた因果探索の実装
• 因果探索に関するpythonライブラリの紹介
• 探索アルゴリズムの適用
• 結果の解釈と可視化
統計的因果探索の限界と注意点
• 因果探索の仮定と適応範囲
• 因果関係の手法の選択の仕方
本セミナーは、相関関係を超えて因果関係を理解したい研究者やデータサイエンティストを対象としています。統計的因果探索の理論的基礎を理解し、pythonを利用して実データに適用できるようになることを目指します。また、最新の研究動向や今後の展望についても触れ、今後の因果探索の発展の展望をします。
前田高志ニコラス(学習院大学 准教授)
学位:博士(工学)(東京大学)
[経歴]
2024年4月 - 現在:学習院大学, 計算機センター, 准教授
2022年4月 - 現在:特定国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 客員研究員
2022年4月 - 2024年3月:東京電機大学, システムデザイン工学部, 准教授
2019年4月 - 2022年3月:国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 特別研究員
[最近の論文]
Python package for causal discovery based on LiNGAM
I-RCD: An improved algorithm of repetitive causal discovery from data with latent confounders
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